外国人労働者の受け入れは「搾取」ではないのか
ビジネス往来の中止は1月14日になってのことだった。人の移動があれば、感染の拡大のリスクが多くなる。国内の移動もリスクはあるが、外国からの入国制限はよりリスクをともなう。すでに新型コロナウィルスのイギリス型の変異株が国内で広がっている。
なぜビジネス往来を続けたのか。
ビジネス往来の対象国はベトナム、タイ、豪州、ニュージーランド、カンボジア、シンガポール、韓国、中国、香港、マカオ、ブルネイ、マレーシア、ミャンマー、モンゴル、ラオス、台湾だった。もちろん日本企業が進出している国も多い。だがしかし、それ以上に入管法の改正で特定技能の労働者として受け入れた国の上位の国が目立つ。そこで、ビジネス往来を止めなかったのは、特定技能の労働者を受け入れを止めたくなかったからではないのかという推察が成り立つ。
新型コロナウィルスの感染拡大にともない、失業や雇い止めが増えている。それなのに、なぜ特定技能外国人労働者の受け入れを止めることができなかったのか。それは、特定技能で受け入れる外国人労働者の穴を日本国民の失業者では埋められないと考えているからだろう。
では、なぜ失業者が多いにもかかわらず日本国民の応募が期待できないのか。それは、業務に見合った賃金、待遇を提示しないからだろう。
コロナ禍でのビジネス往来を止められなかったことが示すこと。
それは外国人労働者の特定技能での受け入れを決めた入管法改正は、日本において労働力が不足していて、それを補うためではないということだ。改正の時点でも、ホームレスの暮らしをしている人はいたし、失業者もいた。
日本国民が応募するにたる賃金より、低い賃金で働いてもらうために外国人労働者を必要とした。本来払わないといけない賃金より安い賃金ですませるために外国人労働者を受け入れた。とすれば、これは「搾取」に他ならない。
低い賃金でないと業界は成り立たない、ひどい待遇で我慢できる人でないと業界はなり立たないというかもしれない。
でも、それは18世紀の北アメリカの農場主が、17世の南アメリカの鉱山主が砂糖精製所主が言ったことと同じではないか。奴隷がいないとこの事業は成り立たない、だからアフリカから連れてこられた奴隷を買っているんだ。
奴隷と外国人労働者からの搾取は違うというかもしれない。だが、奴隷も17世紀、18世紀のヨーロッパ人の観念では合法だった。そして、歴史はそれを断罪している。
本来必要とされる賃金では成り立たない業界であるなら、その業界はあきられるべきではないのか。たとえ、GDPが減少したとしても。それは、生産性を向上してこなかったつけであり、少子化対策に失敗したつけなのだから。
そして、どうしても必要な業界であるならば、それに見合った賃金と待遇を提示し、自国民を雇用すべきだ。当然、それは商品やサービスの価格の上昇をもたらすだろうが。
外国人労働者を搾取して、GDPを維持したり、安価なサービス、商品を手に維持するとしたら、それは日本国民全体が外国人労働者を搾取していることになるだろう。
技能実習生、特定技能の在留資格を廃止し、留学生という形での偽装受け入れもなくし、日本国民の人口と生産性に応じた経済力に甘んじるべきだと思う。
他者から搾取し、他者から奪った、産業の維持はいつか報いを受ける。
出入国管理法と改正|入管法改正による新しい在留資格 特定技能の創設