多事噪論

 震災後にヤフーで多事噪論http://blogs.yahoo.co.jp/sakaizen_sw42というブログを開設していましたが、しばらく投稿していない間に削除されてしまいましたので、改めてはてなで再開したいと思います。高校の公民科教員としてニュースについて思うことを、中学社会科、高等学校公民科、地理歴史科で扱う範囲内の内容で判断し、思ったこと、感じたことを綴っていきたいと思っています。

アベノミクスの失敗は外国人労働者の受け入れが原因

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/303424
 萩生田経産相アベノミクスは失敗だったと発言したとのニュースがあった。

 私もアベノミクスは失敗だったと思う。
 記事を見ると、イノベーションがなかったということを萩生田大臣は原因にあげているようだが、私はもっと大きな原因があると思う。

 中高の社会、公民では、景気循環について教える。
 消費が拡大すると、生産が拡大し、生産の拡大が雇用の増加につながり、雇用の増加が給与(収入)の増加をうみ、そしてそれが消費の拡大を刺激するというのが好景気の時の景気が拡大するスパイラルだ。アベノミクスは金融緩和によって、消費を刺激し、さらに円安によって輸出拡大、生産増加を生み出そうとして、それは成果をあげつつあったと思う。

 しかし、GDP、特に一人あたりのGDPがさほど増えていないことから考えると、失敗だったと言える。

 金融緩和が生産の拡大に効果があったのは企業収益が増加していたのだから確かだろう。そして、それは雇用の増加にもつながり、失業率が低下した。
 問題はこの先だ。雇用の増加が給与の上昇、収入の増加につながるはずなのに、平均賃金の上昇はほんどなかった。

 なぜか。

 雇用という労働市場における需要が増加したのに、給与という市場価格が動かないとすれば、原因は供給だということになる。
 アベノミクスで景気の拡大を図っている最中に、2018年に入管法が施行され、2019年に施行された。それ以前から、留学生という名目や技能実習生という名目で実質的に外国人労働者の受け入れ拡大が続いていた。
 これでは、労働市場の需要が増加しても、それを供給の増加が相殺しているので、賃金の上昇にはつながらず、景気拡大のスパイラルが断ち切られてしまう。

 一方で金融緩和で生産拡大、雇用の増加を図って置きながら、一方で外国人労働者の増加によって賃金上昇効果を打ち消すという、矛盾して経済政策をとったことがアベノミクスが失敗した原因だと思う。