今回の参議院議員選挙は、高校の学習内容レベルからすると、疑問が多かった(もっと深い分析をすれば疑問は解消するかもしれないが、このブログの趣旨は高等学校の公民科で学習するレベルということであるので、そのレベルで疑問をあげていきたい)。ただし、投票日前に高校教員という立場で、政策について論じるのは問題があるとおもっていたので、投票が終わった今、疑問点を2つあげていきたい。
●消費税の減税は高齢者優遇なのに、なぜ若者が支持しているのか?
消費税減税を訴えている政党が多かった。しかも、それを若者が支持しているというか、求めているという報道が多かった。
消費税は所得に関係なく全国民に一律の税率でかけられる間接税だ。つまり、高齢者でも現役世代でも一律にかけられる。教科書では逆進性について記述しているものが多い。
では、消費税を減税して、今のままの福祉などの国家予算の規模を維持したら、どうなるのか。減税分を直接税で補うことになることになるだろう。所得税は、年金で生活している高齢者にはあまり課税されないから、現役世代の負担が増すことになる。
それなのに、なぜ若者が支持しているという報道が多かったのか。それが疑問だ。高齢者優遇政策なのだから、高齢者が支持するのはわかる。それが、若者が支持するというのはどういうことなのか。
各党の政策をすべて精査したわけではないが、減税を主張した政党が、歳出削減、それもこの予算を削るという具体的な提案をしていた政党はなかったと思う。減税を主張しながら、歳出カットや新たな税源を主張しないのはあまりにも無責任で、責任ある政党とは言えないと思う。
●インフレ対策で給付や減税はおかしい
給付や減税を主張していた政党の根拠はインフレ対策だ。
しかし、給付にしろ、減税にしろ、効果は同じで、消費の刺激になる。となると、需要が増加するわけで、これは価格を引き上げることになり、給付や減税をすれば、インフレはさらに加速することになる。
インフレ対策でインフレを加速させてしまうというのは矛盾ではないのか。
現在のインフレは小麦や原油の輸入価格の上昇によるコストプッシュ型インフレなので、給与を増やして所得を増やすか、円高に誘導して輸入価格をさげるしかない。このような根本的に経済政策では、減税や給付でインフレを加速する政策を主張する政党しかなかったように私には思えた。これはゆゆしきことだ。