学術会議は「学問の自由」を守る努力をしてきたのか
日本学術会議に総理が推薦された人のうち6人を任命しなかったということが話題になっている。
このニュースで驚いたのは、学術会議が政府機関で、会員が公務員だということだ。浅学な小生は、なんとなく学者が作る任意団体だろうと思っていた。
高校の教員が作っている研究研修機関に高教研(高等学校教育研究会)というものがある。福島県の教員も福島県高等学校教育研究会に入っている。
しかし、この福島高教研には、社会科(地理歴史科・公民科)と国語科は入っていない。高教研は校長会が作った組織だからだ。研究は自主自立的にするものなので、管理職による命令系統を持ち込むのはふさわしくないという考えからだ。
そして、福島県高等学校社会科(地理歴史科・公民科)研究会という別組織を作っている。
だから、高教研は会長が校長、各教科の部会長も校長であるのに対し、社会科研究会の会長は一般の教員だ。だから、運営も持ち回りで自分たちでやらなければならない。
高校の教員でさえ、学問の自由を守るためには、組織のあり方から議論してきたのだ。
その社会科研究会の総会でで20年ほど前に、小泉内閣が戦争を推進しようとしていると抗議するアピールを出そうという提案かあった。
私は反対した。それは研究会の目的である教員の研究研修とは関係のないことだからだ。もしそんなアピールを研究会として決議したのならば、その考えに反対の教員は研究会からぬけなければならず、研修の機会を奪われかねない。
私の意見に同調する意見がだされ、決議は否決された。
研究のための組織だというのならば、その目的外の活動は控えるべきだろう。中立性を放棄してしまえば、自ら学問の自由を放棄することになりかねない。
ついでに言えば、これは研究組織だけでのことではない。憲法の労働三権で守られている労働組合についても同じだと思う。
労働組合の目的は労働条件の改善のはずだ。それ以外の政治的な活動をしているならば、その政治的な立場に立てない労働者が組合に入ることに拒絶感を持つことになるだろう。労働組合自ら、政治的な立場を異にする労働者に対して不当労働行為を行っているのと同じだと思う。
国民の権利を守るためには、思想信条が異なる他者がいるということに配慮して、組織を目的外の活動に誘導する動きを止めていかないといけないと思っている。
第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。